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それではさっそく事例を見ていきましょう。

午前 問64

*赤色の選択肢が正答です。

55 歳の男性 A、自営業。A は糖尿病の治療を受けていたが、その状態は増悪していた。生活習慣の改善を見直すことを目的に、主治医から公認心理師に紹介された。A は小売店を経営しており、取引先の仲間と集まってお酒を飲むのが長年の日課となっていた。糖尿病が増悪してから、主治医には暴飲暴食をやめるように言われていたが、「付き合いは仕事の一部、これだけが生きる楽しみ」と冗談交じりに話した。Aは「やめようと思えばいつでもやめられる」と言っている。しかし、翌週に面接した際、生活習慣の改善は見られなかった。まず行うべき対応として、最も適切なものをつ選べ。

1、家族や仲間の協力を得る。

2、飲酒に関する心理教育を行う。

3、断酒を目的としたグループを紹介する。

4、A が自分の問題を認識するための面接を行う。

5、A と一緒に生活を改善するための計画を立てる。

引用:公認心理師試験 午前問題

考察

動機付け面接法について知っているかどうかの問題だった気がします。ずいぶん前に本を読んだきりで実践の経験もありませんでしたが、動機付け面接法の考え方はかなり参考になったのを今でも覚えています。まだ読まれたことがない方はぜひ一度読んでみてください。

依存症は否認の病とも呼ばれており、本人が自分の状態を正しく自覚していることも少ないですし、セラピーの必要性を感じていることも少ないです。思春期の臨床で出会う嗜癖行動といえば、自傷(ピアッシング含む)とゲームでしょうか。どちらにせよ、治療が必要だと認識していることは少ないです。

本人が、治療の必要性を感じていないか、必要性を感じていてもそれができないと思っていれば治療はなかなか進みません。ただ、本人も今の生活と治療を受けないことに関しての矛盾を感じています。その矛盾を拡大して、変化への動機を作っていくのが動機付け面接法です。

治療の開始前に、このようにセラピーに対する動機付けを高めていくことが依存症の治療では有効という研究があります。本人の気持ちが向いていないのにセラピーの計画を立てたり、セルフケアグループを紹介したり、周りの協力を取り付けたりするのは最善ではない気がします。

そんな知識もあり、この問題では4を即答できました。