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午前 問62

*赤色の選択肢が正答です。

35歳の女性、会社員。ストレスがたまり気分が沈むため、産業医から企業内の心理相談室に紹介された。元来責任感の強いタイプで、融通が利かないと言われることもあった。2年前に離婚した。発達障害と診断された小学校1年生の娘が一人おり、最近は娘が問題を起こして先生に何度も呼び出されるという。仕事はこなせているが、離婚したことや、子どもの問題を考えると気分が沈む。余暇の楽しみはなく、休日はぐったりして寝ていることが多い。食欲はあまりなく食事を楽しめない。原家族は遠方に住んでおり、育児や経済面への援助はない。

現時点で最も適切な対応をつ選べ。

1、 病気休暇を取得することを勧める。
2、 非構造化面接や簡単な心理検査を行う。
3、速やかに認知行動療法による介入を行う。
4、 原家族や娘の小学校に連絡して情報を得る。
5、 生命が危険な状態にあるため危機介入を行う。

引用:公認心理師試験 午前問題

考察

同期の心理士や仲の良い心理士さんは多い方だと思いますが、唯一あまり知り合いもおらず、私にとってイメージもつきにくいのが産業領域です。産業に弱いのは最初から分かっていたので、「うわ、産業領域わからない!」とパニックにならずに「根本は変わらない」と落ち着くことを大切にしました。

まず、前提を確認していきます。自分は企業内の心理士であるということは、自分の会社に勤めている従業員の方との面接です。どのような事情があったかは知りませんが、管理職などから産業医面接を勧められ、その面接の中で相談室を紹介されたという流れだと思います。インテークが終わり、今後の方針を立てる段階でしょう。

なんとなく、抑うつっぽい気がしますね。自分であったら医療機関へのリファーを視野に入れながら方針を立てていくと思います。なるべくなら、仕事は休んでもらって、その間に医療機関も併用しながら体調を戻して復帰を目指していくという方向で持っていきたいですね。

このままいくと、1の選択肢を選びたいところなのですが、その前に一点勘案しなければならないことがあります。それが経済的な事情です。経済的にあまり余裕がある状態でないのは想像できます。就業規則がどうなっているのかはわかりませんが、病気休暇=休職だったとすればその期間は無給になり、健康保険の傷病手当金などで生活することになります。その場合、給与の6割程度の支給になりますので、生活がさらに苦しくなることもあるでしょう。そう考えると、安易に病気休暇を進めるよりは、有休などをつかうなど収入が減らないような形での立て直しが求められるかなとも感じます。

お子さんの話も気になるところですし、経済的な状況、仕事の状況、本人がどのような形での支援を望むのかもう少し突っ込んで話を聞きたいところです。別に非構造化面接にこだわる必要はないと思います。私だったらインテークシートのようなものを使って、半構造化面接にすると思います。この状態で検査をとるならおそらくBDIとTEGなど負担の少ないものにすることでしょう。そんなことを考えながら2を選択しました。

原家庭や学校との関係がわかってない状態で、そこと連絡を取ることは絶対にしません。必要があったとしても、本人に確認をとったのち、合意を得て連絡をします。以上から4は真っ先に除外できます。

3は、抑うつが疑われるからということだと思いますが、治療的介入を行うなら医療機関との連携はほしいところです。むしろ病院でやってもらいたいです。企業内の心理職という立場であれば、私は絶対にやりません。

危機だと断定するには情報が少なすぎます。少なくとも出社することはできており、本人から希死念慮なども語られていません。現時点では虐待を疑うケースでもないでしょう。そう考えると、5よりは2の方が優先度が高い気がしています。

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