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それではさっそく事例を見ていきましょう。

午前 問61

*赤色の選択肢が正答です。

10 歳の女児 A、小学4年生。小学校への行きしぶりがあり、母親 に伴われて教育相談室に来室した。母親によると、Aは学習にも意欲的で、友達ともよく遊んでいる。母親をよく手伝い、食前に食器を並べることは必ず行うので感心している。幼児期は泣くことも要求も少ない、手のかからない子どもだった。A に聞くと、音読が苦手であり、予習はするが授業中うまく音読ができず、緊張して瞬きが多くなり、最近では家でも頻繁に瞬きをしてしまうという。また「友達には合わせているが、本当は話題が合わない」と話す。

A の見立てと対応として、最も適切なものをつ選べ。

1、チック症状がみられるため、専門医への受診を勧める。
2、うつ状態が考えられるため、ゆっくり休ませるよう指導する。
3、発達障害の重複が考えられるため、多面的なアセスメントを行う。
4、発達障害が考えられるため、ソーシャルスキルトレーニング(SST)を 行う。
5、限局性学習症/限局性学習障害(SLD)が考えられるため、適切な学習 方法を見つける。

引用:公認心理師試験 午前問題

考察

インテークとは書いてないけど、おそらくインテークであろう面接。公認心理師試験の特徴は、いろいろな施設の心理師として登場することでしょう。このような事例問題の一つ一つからも、公認心理師がいかに広いフィールドで活躍することを望まれているのかがわかりますね。

この問題を見たとき、学習障害が限局性学習障害に変わっていたことを知らずに、少し「???」となったのを覚えています。すぐに「DSM-Ⅴか」と理解することができましたが、知識に関する不勉強はこのようなところで出てくるので厄介です。恥ずかしい話ですが、このエピソードを反面教師にしていただいて学習していただければと思います。

さて、本題に入りましょう。この事例に登場する心理師は教育相談センターの心理師さんですね。教相で働いている友人は多いですが、その話を聞いていると、すでに教育に関する相談というよりは子育て・児童・生徒にかかわる幅広いテーマを扱っているように感じています。何が言いたいのかというと「教育相談だから教育に関すること」とあまり頑なになる必要もないのかなと私は感じています。

成育歴、生活歴を聞いていると日常生活を送るだけの元気はあるのかなという印象を受けます。登校、食事、睡眠、余暇の過ごし方といった基礎的なことを確認するのは必要ですが、あまり抑うつ的な印象はありません。本人も、学校への行きしぶりがあり、来室しているとわかっているのであれば、本人から語られる理由の一つは「友達とは合わせているが、本当は話題が合わない」です。それだけでも、「ずいぶん言葉の出るお子さんだなあ」と感じます。友達と合わせるだけの社会性、知的能力の高さあるのでしょう。小さい頃もあまり主張しない子どもということもあり、それがどこからきているのかもアセスメントのヒントになるでしょう。音読が苦手言うのは限局性学習障害があるような気もしますし、吃音がもしあるなら、それも影響しているような気がします。

私が、このケースを担当して初回にこれだけの情報を与えられたら、おそらく「なんかよく分からんな」という感想を持つのは間違いないでしょう。逆に、インテークのこの情報だけで完璧なアセスメントができて支援方針が立てられるのは、心理師ならぬ魔術師のような気がします。

大学院でケースを持っているときに、SVに言われたのは「常に『わからない』ということを大切にしてください」という言葉でした。クライアントも言葉に出ていることがすべてではないし、カウンセラーも分かっているような気になっていることがすべてではない。ある意味、心理士というのは「わからない」を扱う専門家なのかもしれません。「わからない」から分かるまで丁寧に時間をかけて聞くのです。

ということで、「よく分からない」という感想を持っているうちは支援方針は立ちません。そんな理由から私は3を選択しました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。ツイッターでもブログでも感想やご意見を聞かせていただければと思います。