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それではさっそく事例を見ていきましょう。

午前 問60

*赤色の選択肢が正答です。

33 歳の女性 A。A は、3年前にうつ病と診断されて自殺未遂歴が ある。1か月前からうつ状態となり、入水しようとしているところを両親が発見し、嫌がる A を精神科外来に連れてきた。両親は入院治療を希望しており、A も同意したため任意入院となった。入院当日に病棟で公認心理師が面接を開始したところ、「すぐに退院したい」と A から言われた。 このときの A への対応として、最も適切なものをつ選べ。

1、 主治医との面接が必要であることを伝える。
2、退院には家族の許可が必要であることを伝える。
3、意に反する入院は有益ではないため面接を中断する。
4、A が希望すれば直ちに退院が可能であることを伝える。
5、外来に通院することを条件に、退院が可能であると伝える。
引用:公認心理師試験 午前問題

考察

この方の面接を担当することになったら、相当慎重にリスクアセスメントをしないといけないかなという印象を受けました。3年前から自殺未遂歴があり、1カ月前にも自殺未遂をしている。非常に危機的な状況にあり、危機介入も視野に入れながら面接を進めることになると思います。しかも任意入院になったとはいえ、本人は受診を拒否していたという事実もあります。そして、当日退院したいという申し出です。安易な選択をしてはいけない場面でしょう。慎重に言葉を返す必要があります。

まず、主治医とこのケースについて話したわけでなくとも、主治医が退院を認めるようなケースではないだろうという予測は必要だと思います。もちろん、それを本人に伝える必要はありません。制度上は任意入院なので、本人が希望すれば退院できますが、おそらく医療保護入院に切り替わるだけでしょう。

そう考えると、この場面で退院をにおわせるような発言をするのは安易と言わざるを得ないでしょう。今後の治療を考えると、心理士がどこまでこの話を扱うかという問題もあり返答に困るところではありますが、入退院の判断は主治医の権限です。「退院したい気持ち」について扱うかどうかという点も考えますが、入院当日にそんな攻めた面接をする必要もないでしょう。まずは、本人の体調を勘案しながら様々な角度からアセスメントを行っていく場面だと考えます。

もし、「退院したい」という気持ちが語られたならば

「退院したい気持ちがあるんですね。その気持ちは先生にもしっかり話した方が良いと思いますよ。ただ、今後退院するかどうかは治療の経過も踏まえて先生とよく話し合って決めていくのが良いと思いますよ」

あくまでも任意入院であること、すぐには退院にならないだろうなぁという予測のもとに返答するならこんな感じになるかなぁと考えてみました。私のこの返答に最も近い選択肢は1になると思います。