事例

17歳高校二年生の男性、A。「片思いしている友人に恋人ができ楽しそうにしている顔を見るとつらくなり涙が出てくる」という主訴で相談室へ来室した。50分間の面接の中で友人とのエピソードを語り時に涙を流すこともあった。友人とは高校1年の時から仲が良く頻繁に遊びに行く仲だった。二年生に進級したあたりから、友人がしきりに好きな人の話をするようになり胸が苦しかったという。「こちらから告白してみようかとも思ったが、拒絶されたらどうしようという思いが強くてできなかった」ということを何度も繰り返し語っていた。この面談を受けたスクールカウンセラーとして最も不適切な行動を選べ。

1、彼のおかれた状況や気持ちをできる限り理解しようと思いを馳せる。

2、「拒絶されたらどうしようという思いが強くあったんですね」と声掛けをし、彼の気持ちに焦点を当てる。

3、「彼女とは高校一年の時からの友人で好きになったけれども、彼女は別の人が好きになったんですね。自分の思いを伝えようと思ったけど、拒絶されたらどうしようと思い言えなかったんですね」と語られた内容を要約する。

4、継続面談とするため、次回の予約を取る。

5、彼のおかれた状況を理解するために、自分のわからないことを質問してみる。

 

解答

思春期は、性的なアイデンティティも確立される時です。恋愛やセックスといった性的な話題も頻繁に出てきます。性的な話を聞いていくときにどのようなことに注意しながら聴取していけば良いのでしょうか。

性は3つの性から成立するといわれています。「身体的な性」「性自認」「性指向」です。

「性表現」を入れて4つの性とすることもあります

「身体的な性」は生物学的に決定されます。例外はありますが「男」か「女」かという0か1かで決まります。

「性自認」は自分をどのような性だと思うかということです。これは「男」か「女」かという0か1かで決定されるものではなく、「男」と「女」を結ぶスペクトラムです。「男に限りなく近い」「中間地点」「真ん中よりは女の子より」みたいな表現をすることも可能です。この「身体的な性」と「性自認」が一致しないものが性別不合と呼ばれます。

「性指向」はどのような性を好きになるかということです。必ずしも異性を好きになるとは限りません。「身体的な性は男、性自認も男、男の人を恋愛対象とする」という人もいれば「身体的な性は男、性自認は女、男の人を恋愛対象とする」という人もいます。

心理職であれば、「その人の性的なアイデンティティはどうなのか」ということはアセスメントすべき要因の一つではないでしょうか。見た目が男性だから女性が好きとは限りません。多くの人がそう思っているからこそ、葛藤を抱えている人も少なくありません。

言わずもがなですが、「片思いしている友人」は「彼女」であると決まったわけではありません。

以上より、これは3を正解に想定して作成した問題です。