学校で働く心理職

現在学校で常勤心理職として働いています。

「常勤でスクールカウンセラーなんて珍しいですね」とよく言われますが、個人的にはSCではなく心理職として働いているという意識です。
あまりカウンセリングしないですからね。面倒なので「常勤SCです」と自ら言うことも結構多いですが……

その辺の違いはまた別の機会にお話しするとして、今回は学校で働く心理職がよく対応を求められるケースです。
それが「不登校支援」です。この言い方に賛否両論あると思いますが、とりあえずこの言葉を使って語ってみたいと思います。

不登校の原因は?

よく聞かれる質問です。

「1学期はこれてたんですけどねーなんででしょうねー」
「来たり来なかったりなんですけど何が原因なんですかね」

1年に何回聞かれるでしょうか。そのたびそれなりにアセスメントはしますが、実際はよく分かりません。
おそらく、本人も良く分かっていないと思います。言葉が良く出てくるお子さんだとそれっぽいことは言うと思いますが、原因がそれだけに絞られるということもないと思います。色々複雑な理由が重なり合い、影響しあい、最終的に「学校に行かない(いけない)」という選択肢をとっている(取らざるを得ない)のだと思います。

ただ「よく分からないですねー」だとあまりにも残念なので、アセスメントをして支援方針は立てていきます。

アセスメントするとき、どのようなことを考えているのかを少しまとめておきたいと思います。

原因論

色々な原因は考えられるのですが、私の場合は簡単にカテゴライズしています。精神科領域では、以前外因・内因・心理環境因という考え方をしていました。今でも、この考えで鑑別されるドクターはいらっしゃると思います。精神症状が出たときに、何が原因で症状が出ているのかを考えるカテゴライズです。例えばうつ症状が出てているときに、外因によるものであれば頭部打撲や脳出血など、脳そのものに外圧がかかり症状が出ていると考えます。内因の場合は脳の機能的な問題、神経伝達物質などの影響で症状が出ていると考えます。そして、心理環境因は職場の人間関係や配置転換など、心理的な影響や環境によって症状が出ていると考えます。

個人的にはこの分類を不登校支援において応用して考えています。

外因はいじめや虐待などの、外からの明らかな外圧によって登校できなくなっている場合です。そして内因は疾病や障害など本人の持っている特性が十分に活かされなかったり、十分に適応できないことにより登校が難しくなっている状態です。そして心理環境因は人間関係や、学習の遅れなどの要因で登校が難しくなっている状態です。

基本的に、このどれか一つが原因ということは少ないです。複数の要因が絡み合っているので、一つ一つの要因を整理していくのに使います。そして、これらの原因の存在を外因から除外していきます。というのも、外因による不登校が明らかな場合は、真っ先に介入しなければならないからです。これがある場合は、緊急対応ですのですぐに動きます。

内因が考えられる場合は、医療機関や教育相談センターなどの外部資源を紹介する必要があります。すでに適切な資源がある場合は連携を取り、今後の教育に活かしていきます。

そして心理環境因の場合は教育的なアプローチをメインに計画を立てます。私はよく経験するのですが、教員をはじめとした他職種は最初から心理環境因だと決めて教育的アプローチを仕掛けることが良くあります。心理環境因に手を入れるのは外因・内因にしっかりと対処した後です。

このようなことを、考えながら支援方針を立てていきます。

外因があった場合どのように対処するか

最近、児童相談所に関する事件が続きますね。これは外因に対する対処が上手く機能しなかったという一面もあるのかもしれません。
外因として考えるとは、「虐待」「いじめ」です。これは相当自信を持って言えますが虐待があった場合、教員は殆どつかんでいると思います。ただ「これは虐待だ!!」と確信を持っているわけではなく「あれれ~なんかおかしいぞー」くらいの感じでつかんでいます。伊達に毎年沢山の子どもを見ているだけあり、教員の感覚はかなり鋭いです。多分、我々心理職よりも鋭いです。

担任は「あれれーおかしいぞー」というレベルでつかんでいても、それがなかなか上がってこないことも多々あります。なので、日ごろから教員と信頼関係を築き、ちょっとした話の中から「あれれーおかしいぞー」をつかむのは心理職の仕事です。ただ、ここからがさらに厄介で、「おそらく虐待だろう」という結論に至ってもなかなか児相への通報というようには動きません。この重い腰を動かして通報までつなげるのも心理職の仕事だと思っています。どうにもこうにも動かない場合は、匿名で私が通報します。さすがに、そこまでいったケースはありませんが、そのくらいの覚悟を持って虐待には臨んだ方が良いでしょう。

「いじめ」の場合もなかなか話は難しいです。発覚した場合によくやりがちなのが、被害者を抜き出して加害者自体は教室に置きながら指導をするという方向です。本来学習権を保証されないといけないのは被害者ですので、本人が教室に戻りたいという意思があるのならば最優先で戻さなければなりません。このあたりの聞き取りをケアを含めて担うことが多いです。いじめの場合は基本的に生徒指導部が中心に動く事案ですので、この場合はケアに徹することが多いです。

ただ、加害者も闇が深い場合が多いですので、指導が終わった後のフォローアップを行うことはあります。

不登校はそもそも登校を目標にすべきか?

非常に難しい問いです。
原因論でも述べましたが、原因は色々なものが複雑に絡み合って起きています。なので一概に良いとか悪いとかが言えないのが現状です。

そして不登校が問題になるのは、小学校と中学校です。高校の場合は留年になってしまいますので、そのまま進路変更になってしまうことが殆どです。高校の不登校の場合は長期的な計画というよりは短期決戦です。心理職としては先ほどいった外因・内因の鑑別を行い、あとは本人の決意を待つことくらいしかできません。「この高校で進級するんだ」と決意した子は、それまでの出席状況が悪くともかなりの頑張りが見られます。逆に「やっぱ通信かな」「別に高校卒業しなくてもいいや」という決意をした子はそれなりに転学先や進路先でもやっているようです。

さて義務教育での不登校ですが、登校を目標にすべきかどうかということですが「本人も保護者も決め切れていない」「学校へ行かないことへの不安が大きい」ならば登校を目標していくよう設定していきます。ただ、こうだからこうと一概に言えない難しさもありますので、いつでもこういうわけではないと理解していただければ幸いです。

小学校低学年の不登校の場合は、成長したお子さんなら決意することができますが、多くはまだまだ自意識が成長途中です。分離不安なども疑いなら年齢が上のお子さんよりも丁寧にアセスメントをしていきます。

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