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午後 問144

9 歳の男児 A、小学3年生。A は学校で落ち着きがなく、授業に集中できずに離席も多いため、担任教師に勧められて、母親が家の近くにある市の相談センターに連れて来た。母子家庭できょうだいはない。3回目の面談には、A が一人で来所した。A の顔が赤く腫れ上がっており、公認心理師 B が尋ねると、「昨日家でおじさんに殴られた。怖いから家に帰りたくない」と怯えた表情で訴えた。B が「おじさんって?」と尋ねると、「一緒に住んでいる人」と答えた。よく見ると顔の別の場所
や手足に古いあざのようなものが多数あった。

B のとるべき行動として、最も適切なものをつ選べ。

1、相談センターの責任者に伝え、センターから市の虐待対応部署に通告する。
2、家に帰すことは危険と考え、A を B の家に連れて帰り、母親に連絡を取る。
3、事実の確認が必要と考え、司法面接の技術を用いて、自ら詳細な聞き取りを行う。
4、怖い気持ちを十分に受け止めた上で、家に帰るように諭して帰宅させ、次回にその後の様子を聞く。
5、母親に連絡してAが怯えていることを伝え、母親に「おじさん」の暴力を止めてもらうよう依頼する。

引用:公認心理師試験 午後問題

考察

虐待に関する問題が非常に多いですね。今回も虐待に関する事例問題です。

虐待の場合の考え方は、「通報は義務」ということの一点に尽きると思います。しかも、「虐待が疑われる場合は通報」です。
虐待があったかどうかをこちらで判断する必要はないのです。

そう考えると今回の事例も虐待を疑うには十分な状況がそろっていますね。ということで正解は1です。ほぼ迷うこともなかったのではないでしょうか。

2以外の選択肢は、臨床場面でやってもおかしくないミスですが、2だけは少し毛色の違う選択肢です。
個人的にはこれを選択してしまった人は少し危険だと考えています。我々は様々な現場で様々な事例を扱っていきます。そのすべてが「心理士」という役割のもとで行われることです。ただ、他の専門職と違い自分の心の揺れ動きなども臨床場面で必要になってくることがあります。だからこそ、自らの心の動きに敏感であらねばならないのです。もしかしたら、私もその男児の話を聞いて胸が熱くって「この子を必ず安全な場所に連れていきたい!」と思うかもしれません。それは、私の抱えている個人的なテーマがそのように思わせるのかもしれませんし、男児が私に親を見たから私がそれに反応したのかもしれません。どちらにせよ、相談に来ている母親の子どもを自分の家に連れて帰るなどあってはならないことです。その行為自体が虐待につながることもあります。

今後、子どもとセッションを持つうえで私の感じた「この子を必ず安全な場所に連れていきたい」という気持ちをよく考えてみることは必要でしょう。ただ、それに突き動かされてはいけないのです。

何かの漫画で「ハートは熱く、頭は冷静に」という言葉がありましたが、まさにそういう感じですね。冷静な頭で自分の熱いハートをよく考えねばいけない時があるのです。

問59とかなり似た問題でしたね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。ツイッター(@iwakunily)でもブログでも感想やご意見を聞かせていただければと思います。