公認心理師試験の第一問目で、サイコロジカルファーストエイドが出題されて驚いたのはきっと私だけではないでしょう。

阪神・淡路大震災でPTSDなどの発症が話題になり、被災地に支援に入る心理士も増えてきたと聞きます。
東日本大震災でも、沢山の心理士が支援に入りました。これは聞いた話になってしまいますが、避難所には「心のケアお断り」「心理カウンセラーお断り」の張り紙が見られたようです。この話を聞いたときに私も引っ掛かっていて、いつか心理士としてボランティアに行くときのためにしっかり勉強しないといけないと思っていました。

そんな折に、県士会が災害対策研修会を開くというので参加してみることにしました。てっきりサイコロジカルファーストエイドについて学ぶのかと思いきや、被災地支援全般ついて学ぶことができるもので、非常に有意義な時間でした。

一人よがりの支援になっていないか

この研修を受けてみて、思ったことは「ニーズがあってこその支援」であることです。
当然のことながら、ニーズも何もない支援を行ったところで無視されるだけですし、ニーズがないのに無理やりサービスを押し付けたら「お断り」されてしまいます。冒頭で少しだけ話した「心のケアお断り」は、このようなニーズのない支援を無理やり押し付けた結果なのではないかと少し考えました。これは自戒の意味も込めてです、私だって一歩間違えれば、ニーズを無視して避難所のブースを回って「お話聞かせてください」とやってもおかしくないのです。講師の方も言っていましたが、被災地で求められるのはカウンセリングではなく温かい味噌汁一杯の可能性もあります。おそらく、そちらの方が有用だと私は考えしまいます。

何も、傾聴したりカウンセリングをしたりするだけが心理士の役割ではありません。カウンセリングのような「心理士らしい支援」は支援者側が行いたいだけであって、受援者側は求めていない「ひとりよがりな支援」になっている可能性もあります。逆に、避難所のような場所でトラウマケアやグリーフケアを求められてもできることに限りがあるでしょう。カウンセリングルームもない、日常生活も安定しない、家もない、食事も物資もない、衛生環境もちゃんとしていない場所でどれだけのことができるでしょうか。そもそも、カウンセリングの構造を作ることすら困難ではないでしょうか。

受援者と支援者の温度差

研修の中で、避難所を運営するシミュレーションを行ってみました。とにかく大変な作業でした。
避難所の運営者自身も被災者である状況で、状況もよく分からないままに押し寄せる避難者。とにかく、目の前にいる人たちを捌くことで精いっぱいです。やっとこさ落ち付いたと思ったら、支援チームがやってきて「ひどい状況ですね」「物資が全然足りていませんね」「何が必要なのかリストはありますか」などと聞かれたら、支援チームは良かれと思って言っているのにも関わらず受援者は責められているような気持ちになってしまいます。

本来ならば力を合わせなければならない両者がどんどん分断されていくのです。実は、ここにこそ心理士としてのノウハウは活きるのではないかと考えていました。当然のことながら、カウンセリング場面ではなるべく侵襲的にならないように細心の注意を払います。医療現場でも学校現場でもコーディネートを任せられることは少なくありません。

ニーズを聞き取って、支援体制をコーディネートするというのはまさに心理士が得意とすることなのかなと感じました。しかし、訓練なしにいきなりはできません。
我々は心理職として、災害支援について学習し、自らの専門性を活かしながら支援できる体制を作っていくことが必要だとそんなことを感じさせる研修会でした。
定期的に参加したいですね。

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