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午後 問139

15 歳の男子 A、中学3年生。A は不登校と高校進学の相談のため教育相談室に来室した。A はカウンセリングを受けることに対して否定的であった。「カウンセリングに行かないと親に小遣いを減らされるので来た。中学校に行けないことについてはもう諦めている。通信制高校に進みたいが、親が普通高校へ行けと言うので頭にくる。毎日一人で部屋で過ごしているのは退屈なので友達と遊びに行きたいが、自分からは連絡できない」と言う。実際には、中学校の生徒に見られることを恐れて、近所のコンビニにも行けない状態だった。作業同盟を構築するためのカウンセラーの最初の対応として、最も適切なものをつ選べ。

1、カウンセリングがどのようなものか A に分かるように説明する。
2、通信制高校に合格するという目的を達成するために継続的な来室を勧める。
3、Aと親のどちらにも加担しないように中立的な立場をとることを心掛ける。
4、外に出るのを恐れているにもかかわらず、教育相談室に来られたことを肯定してねぎらう。
5、カウンセリングに行かないと小遣いを減らすと親から言われていることに「ひどいですね」と共感する。

引用:公認心理師試験 午後問題

考察

かなりリアルな事例だなと感じて解いていました。なんだか、かなり傷つきやすそうな雰囲気のするクライエントさんですね。
こちらの意図しないところで傷ついてしまうことも予想されるため、言葉選びは相当慎重にしたいケースです。個人的には来談者中心療法を問うているのかなという印象を受けていましたが皆さんはいかがでしょう。

よく、岩国は「クライエントが時系列でいうとどこに囚われているのか」ということを考えます。もし、未来のことに囚われているのならば、それは不安になって表れてきますし、過去に囚われていればコンプレックスにつながってきます。このケースでは進学という未来の出来事を親も本人も考えこんでしまっているような気がします。もちろん、それは大切なことですのでいつかは取り扱わないといけない時が来ると思いますが、現時点で進学という現実的な課題を扱うかどうか、また教育を飛び越えて面接室で通信制高校の合格を目標にするかどうかという点ではかなり疑問符があります。以上の理由から2は真っ先に除外しました。

この時点でクライエントの置かれている立場に共感できるのかと言われれば、ちょっと難しいような気もします。5の「ひどいですね」という言葉は自己一致しているのかどうかと問われればおそらくしていないでしょう。ということで、5も除外できます。

そもそも、「誰に加担する」というのもないと思います。そもそも、敵がいて味方のいる話でもありませんので。親とは今現在はぶつかっていますが、最終的には協調していくことが望まれます。カウンセラーが親子関係を「敵、味方」で見ていると宣言しているような選択肢でもあります。以上のことからこれも除外できるでしょう。

さて、そうなると残った選択肢は1と4です。面接中はそこまで考えるかどうかわかりませんが、この選択はクライエントの知的な部分に焦点を当てるか、情緒的な部分に焦点を当てるかの違いなのかなと感じました。これは主観ですが、情緒的な部分と知的な部分で矛盾を起こしているような気もしますね。知的な部分はかなり発達していて、強みにはなると思いますが、それ故に見失ってしまっているものも多くありそうです。きっと、友人に会うのが怖かったり、恥ずかしかったり色々な感情はあると思いますが、まずはそれが自由に表出できる場所を作ってあげることが求めらていると考えます。それには、知的な部分に働きかけて「なんでも話していい場所で、私もそれを一緒に考えてきたい」と理性的に訴えかけるのも良いと思います。しかし、きっとここに来るまでもとても大きな葛藤や、不安があったと思います。それを乗り越えてこれたことを労うことこそが、カウンセリングとは何かを情緒的な部分に訴えかけることにもなるのではないでしょうか。そして、「よく来てくれました」というこの言葉には、おそらく多くのカウンセラーが自己一致できるのではないでしょうか。

以上の理由から私は4を選択しました。

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