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午前 問71

15 歳の男子 A、 中学3年生。A は非行傾向があり、中学校内で窃盗事件を起こし、学校の指導でスクールカウンセラーと面接した。両親は離婚しており、A と二人暮らしの実父とは関係が悪く居場所がないことなど、自分から家庭の事情を素直に話した。A とスクールカウンセラーとのラポールはスムーズに形成できたと考えられた。スクールカウンセラーは父親との関係がAの非行の背景にあると考え、継続面接の必要性を感じ週1回の面接を打診したところ、Aは快諾した。しかし、翌週 A は相談室に来なかった。担任教師の話では、A は「あんな面接には二度と行かない」と話しているとのことだった。
A への対応として、最も適切なものをつ選べ。

1、独自の判断で家庭訪問をする。
2、児童虐待を疑い、実母に連絡する。
3、 A には伝えず父親を学校に呼び出す。
4、A の対人不信に留意し、面接の枠組みをしっかり保つよう工夫する。
5、A をよく知るクラスメイトに事情を話し、A を面接に連れて来てもらう。

引用:公認心理師試験 午前問題

考察

割とありがちなケースかなという感じがしました。基本的には、クライエントからのアグレッションに対してどのように面接をしていくのかなという問題なのかなと受け取っていました。もちろん、担任からのアグレッションという可能性は否定できませんが(笑)

臨床をやっていると、クライエントからのアグレッションを受けることは少なくありません。何度も苦労したことがありますし、ときに私の方がアクティングアウトを起こしかけたこともあります。毎回、「これはアグレッションだな」と気が付けばよいですが、そういうわけにもいきません。そういう意味でもSVは大切になってくるのかなと日々感じています。

1と5に関しては、セラピスト側のアクティングアウトだと言っても良いでしょう。なんとなく「約束したじゃないか!なんで来ないんだ、直接話してやる」という意図が見えるような気がします。少なくとも、来るか来ないかも含めてアセスメントするくらいの気持ちが必要でしょう。首に縄付けて「約束したんだから面接に来なさい!」というのはちょっと難しいことですよね。

2に関しては、虐待を疑うならもう少し根拠が欲しいところです。少なくとも、この情報から虐待を疑うようなエピソードは出てきていません。3も生徒指導と並行して行う面接ですので、保護者との面談は注意を払った方が良いでしょう。本人が面接への不信感を募らせ構造を保てなくなる可能性もあります。父親と面談をする必要があるならば、少なくとも本人の合意はいるでしょう。

消去法的に4を選択することになりますが、アグレッションに対してあまり振り回されないという点から選択することも可能です。もし「私だったら」という前提でこの事例をどう進めていくかを考えてみました。基本的には時間と場所をとって、本人を待つという形をとると思います。担任からは時間と場所だけアナウンスしてもらう形にするでしょうか。それでも来ないというのならば、生徒指導一本でやっていくことになりますので、生徒指導の教員の中でケア的な役割をとれる人を配置してもらい、コンサルしながらケースを進めていくことになるでしょう。

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